福岡デザイン&テクノロジー専門学校で、マーケティングの講師とEC実習の講師を、1年間通して担当しました。結論から言うと、教育の現場は“教える側にとっても”圧倒的に学びが多い貴重な場でした。振り返ると、授業を通して伝えたかったのは「スキルを覚えること」だけではありません。 むしろ本質は、教養、社会人としての心構え、仕事への取り組み姿勢 —— そこにどれだけ早く気づけるか、だと思っています。入口のハードルと、伸びる瞬間1学期を終えたタイミングでも記事を書きましたが、当時の実感はシンプルで、受講生の多くがWebやビジネスの前提知識がほぼゼロの状態からのスタートで、「マーケティング思考」を腹落ちさせるのは想像以上に難易度が高い、ということ。一方で、あの時期に何度も見たのが、“ある瞬間から急に伸びる”という現象です。良い問いや例を渡すと、吸収が一気に進み、アウトプットの質が授業単位で変わる。若さの強みって、こういうところだよなぁと強く感じました。そしてもうひとつ、当時から強く意識していたのが、「わからないまま進めない設計」。マーケティングもECも、積み上げ型の科目なので、どこかでつまずくと“置いていかれる”が起きやすい。だからこそ授業設計とファシリテーションの重要性を痛感しました。2学期以降でより強く感じた「学生気分」後期に入って、より強く感じたのはここです。学生気分のままの生徒が、やっぱり多い。もちろん全員ではないし、個人差はあります。ただ、現場に出る準備として見た時に、危うさが残るケースは少なくありませんでした。だから授業中、・「来年就活だよ」・「あと数カ月で就活準備だよ」と、ウザいくらい口酸っぱく言っていました。急かしているように聞こえるのは承知の上で、それでも言い続けたのは、“気づくのが遅れるほど選択肢が減る”からです。本当に自覚をもってほしい。これは1年間を通した一番の願いでした。少人数だからこそできた個人面談クラス運営はどうしても平均値に寄せざるを得ません。 授業という枠組みだと「全員に届く説明」を優先する場面が増えます。ただ今回は、少人数という条件が大きく、個人面談を重ねることができました。面談では、スキルの話だけじゃなく、・何を目指したいのか・何が苦手で、どこで止まっているのか・生活リズムや時間の使い方・“仕事として”取り組む時に、何が足りないのかこういう話を真正面からしました。そして意識していたのが、「個と向き合っている」ということを、本人に直接伝えること。人は“見られている”と意識することで変わります。逆に、見られていないと感じた瞬間に、簡単に手を抜けてしまう。教育現場は、その差が特に露骨に出ます。向き合ったからこそ、衝突もあったもちろん、向き合った分だけ、生徒と衝突する場面もありました。でも、衝突が起きたこと自体は悪いことじゃないと思っています。「本気で見ている」からこそ摩擦が生まれるし、そこで逃げずに対話できた経験は、教える側としても大きかった。むしろ、衝突のない1年は、たぶん“安全運転で当たり障りなく終わっただけ”です。それは教育としては、あまり価値が高くないと考えています。私は、別に彼ら彼女らに好かれようと思って教えていません。むしろ嫌われてもいい覚悟で、それでも社会に出ることの厳しさを少しでも感じてほしいという想いで挑んできました。何かほんの少しでも、心のなかに小さな変化が起きてくれると嬉しいです。スキルは時間をかければついてくる。問題は「姿勢」と「行動力」ここは、最後まで一貫して伝えたことです。スキルは、時間をかければついてくる。ただし、時間をかけられる人には条件がある。それは実直にやる行動力を持っていること。今の若さは武器です。多少遠回りでも、愚直にやって、まずやり切る。その“当たり前”ができるだけで、就職後も伸びます。逆に言えば、ここが弱いと、どれだけ技術があっても頭打ちになります。生成AIの台頭で、ますます「スキル重視」ではなく「ビジネス重視」へここ数年で、環境はさらに変わりました。生成AIが前提になっていく中で、スキルセットの価値は確実に再定義され始めています。だからこそ、学生には・何が作れるか、ではなく「何のために作るのか」・上手い・すごい、ではなく「誰の課題をどう解決するのか」・作品、ではなく「成果につながる設計になっているか」といった感覚を持ってほしい。つまり、スキル重視から、ビジネス重視へ。これは、クリエイティブ職であればあるほど避けて通れないテーマです。総括:教育の現場で得た学びを、次の現場へ1年間やってみて、教育の現場は本当に貴重だと感じました。教えることは、過去の経験を“言語化して体系化すること”であり、同時に自分の甘さや抜けも浮き彫りになります。そして何より、学生の伸びは、講師側の設計と関わり方で大きく変わる。この事実を、現場で何度も直面しました。生徒たちには、スキルだけでなく、教養や心構え、仕事への姿勢を持った上で、次のステージに進んでほしい。そして自分もまた、この経験を持ち帰って、現場(ビジネス)の中で還元していきます。—— 以上、1年間の総括でした。